結婚LABO(ラボ)他人に聞けない結婚式の悩みに プランナーの本音トーク続々!プロフェッショナルガイド

以前このコーナーで、「彼との間で結婚式に対する意見がくい違ってしまう・・・」という新婦さまのお悩みをご紹介しましたが、そのとき私は、「それはお二人にとって大きなチャンスですよ」とお答えしました(彼に「挙式はいいけど、披露宴はしたくない」って言われてしまいました…。)。なぜなら、お互いの間にある価値観のちがいに気付けたなら、話し合って、歩み寄って、わかりあえる、つまり「いい夫婦」になるための大事なステップを、結婚する前に経験できるからです。

今回のお悩みも、同じように捉えることができます。

お相手のご両親との間に意見相違が生まれた。それは、残念なことでも何でもなく、むしろ、「いい家族」になるためのチャンスが到来したということ。ここはぜひ、親御さまの立場にたって考えるように頭を切り替えてみてください。親御さまの言葉を、ただ言葉通りに受け止めるのではなく、その言葉の背景にある【気持ち】に思いを馳せるのです。

親御さまの【気持ち】。それは、お二人の人生のスタートを最高の1日にしてあげたい、それに尽きると思いますよ。誰よりもお二人の幸せを願っているから、思わず口を出してしまうのではないでしょうか。つまり、口を出すということは、お二人のことを想っている証拠なのです。

また、親御さまにとってお二人の結婚式は、「子育ての卒業式」でもあります。 これまで大切に育ててきた息子や娘が、やっと一人前になって、新たな人生のスタート地点に立つことができる。結婚式は、親御さまがこの数十年を振り返り、子育ての集大成を実感する、そんな1日でもあるのです。

「結婚式は、子育ての卒業式」。私がそう思ったのは、こんなご家族と出会ったからです。

「ウエディングドレスは着たくない」という新婦さまでした。それで、和装での神前式を選ばれたのですが、実は、新婦のお父様の夢は、「ウエディングドレスを着た娘と腕を組んでバージンロードを歩くこと」だったのです。ひそかな夢を持ち続けていたのにもかかわらず、「娘が決めたことなら」と、意見さえされなかったお父様。そのお気持ちを考えると私は、新婦さまに伝えずにはいられませんでした。

「そうだったんですか・・・」と、新婦さま。

ご両親に喜んでいただくための結婚式でもあったので、お父様にそんな夢があると知った以上、「このままでいいのかな?」と、モヤモヤした気持ちが生まれるのは仕方のないこと。でもやっぱり、「ウエディングドレスは着たくない」という自分の気持ちは譲れません。

そこで、式は和装にて神前式。その後、披露宴会場に入場する際に、新婦さまのエスコート役をお父様にお願いすることになりました。先に新郎さまが一人で入場されて、いったん披露宴会場の扉が閉まったそのわずかな時間に父娘の間に流れたのは、それはもう素敵な空気でした!

娘「これ、お父さんが選んでくれた着物だよ」
父「うん、きれいだね」

たったこれだけの言葉の中に、いったいどれほど多くの想いが詰まってるんだろう!
お父様の【気持ち】を受け止めて、歩み寄って、お互いの夢を形にした新婦さまと、形は違えど娘の晴れ舞台に参加することで、子育ての卒業式を無事に迎えられたお父様。これぞ本物の家族だ、と心からそう思いました。

さて、あなたのお相手の親御さま、またご自身の親御さまは、どんな【気持ち】をもっていらっしゃると思いますか?
思い合って、話をしてみること。それさえできれば、新しい家族との絆も自然に生まれると思いますよ。

八木 陽子

Yoko Yagi

7年間の間に、手がけた結婚式の件数のべ200組のチーフプランナー。現在、京都・滋賀を中心に活躍中。「ウエディングプランナーは天職。他の仕事をする気がしません」
バリューマネジメントグループ